2019年8月5日 千秋楽

傾城阿波鳴門  順礼歌の段
十郎兵衛・お弓の夫婦は、徳島の玉木家の家宝国次の刀を探すため、大阪の玉造に住み、十郎兵衛は名前も銀十郎と変え盗賊の仲間に入っていました。
お弓が留守番をしているところに、順礼の娘が訪れます。国許に残してきた自分の娘と同じ年頃なので、話を聞いてみると両親を探して徳島からはるばる旅をしてきたという身の上を語ります。
両親の名前を聞いてみると間違いなく自分の娘であることがわかりました。今すぐに抱きしめ母と名乗りたい思いを抑え、盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れて、国へ帰るように諭します。そしてこのままここにおいて欲しいと頼むおつるを、お弓は泣く泣く追い返します。

おつるの歌う順礼歌が遠のくと、お弓はこらえきれずに泣き崩れるのでした。しかし、このまま別れてはもう会えないと思い直し、急いでおつるの後を追います。
新版歌祭文 野崎村の段
白無垢姿綿帽子をかぶった花嫁おみつ。ところが、綿帽子をとると切髪で、白無垢に袈裟をかけていました。おみつはお染と久松の心中の覚悟を見抜き、二人の命を救うために身を引いて尼となったのでした。

段切の「船頭」や「駕屋」のチャリ掛かった人形の動きが、暗く落ち込んだ空気を明るくする反面、久作と「おみつ」の哀れを際だたせる演出は秀逸です。